社会保障制度と生命保険の違いを整理する

新型コロナウイルスの感染拡大がはじまってから早1年経ちますが、いつの時代も誰もが予期せぬ出来事が起こってしまうのが世の常です。2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災もそうでした。このような出来事に巻き込まれた場合、いくら個人で備えをしていたからといっても、一夜にして全てを失い無一文になってしまう可能性は誰にでもあります。

そのような大きなリスクにたいし国民が路頭に迷うことがないように、政府はいろいろな「安全網」(セーフティーネット)を備えています。公的保障、社会保障制度と呼ばれるのも同じことを指しています。

生命保険に加入するうえで、この社会保障制度を理解しておくことは大切です。というのは、政府の社会保障で足りない部分を補うことが、民間の生命保険の役割だからです。社会保障を無視して生命保険に入ることは、「掛けすぎ」の状態を招いてしまうので注意が必要です。

今回は、日本の社会保障制度と生命保険の違いを整理してみます。

社会保障制度を補完する生命保険

社会保障生命保険
運営元政府もしくは法律で定められた法人・組合私企業(免許事業)
加入強制加入任意
費用税金・社会保険料として、政策的に決定リスクに応じて、数理統計を元に算定
給付額費用負担に応じて、政策的に決定生命保険料に比例
物価変動への対処ありなし
積立金なし(賦課方式のため)あり
資産運用
リスク
なしあり
制度破綻
リスク
なしあり

どちらが良い悪いという話ではなく、相互に補完し合っています。

社会保障の種類

社会保障は大きく分けると、「社会保険」「公的扶助」「社会福祉」「公衆衛生」の4つの分野になります。

社会保険

年金・医療保険・介護保険・労働保険など、我々の生活に一番なじみのある制度です。病気やケガ、死亡や要介護、失業などのリスクに備えるためのものです。強制加入で、加入者全員で保険料を負担し合う相互扶助の制度です。

公的扶助

主に生活保護のことで、生活に困窮する人たちの最低限の生活(生存権)を保障するための経済的な援助を指します。社会保険と違い、受給者が保険料や掛け金を支払う必要はなく、原資はすべて税金です。

社会福祉

老人福祉や障害者福祉、児童福祉、寡婦福祉などの各福祉法に基づいて、対象者別に提供される制度です。

公衆衛生

予防接種など、市民の健康の維持や増進を図るための制度です。新型コロナウイルスのワクチン接種は、これにあたります。

社会保障と生命保険はセットで考えよう

このように見てくると、政府では多方面に安全網を用意していることがわかります。

繰り返しになりますが、生命保険はあくまでも社会保障を「補完」するものであって「代替」するものではありません。ということはつまり、社会保障の仕組みをおさえずして、正しい生命保険の加入はできないということになります。

まともな保険セールスであれば、このことは理解しているはずです。逆に考えれば、生命保険の加入に際し、まずはじめに社会保障の説明をしない担当者は信用できないということです。


生命保険選びで失敗したくないあなたへ

どこの組織にも属さずに独立した立場から、オンラインによる保険の見直しレッスンを行っています。保険も株も不動産も、何も売り込まないファイナンシャルプランナーが、保険に関するあなたの悩みや不安を解決します。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA