先日、お客さんから「火事の心配はないから、火災保険には入らなくていいと思っています」というご意見をいただきました。今日はこれについて解説したいと思います。
要旨
火災保険の加入は必須です。あなたが火元になる可能性がなかったとしても、巻き込まれる可能性はあり得るからです。火災保険は少ない金額で大きな補償が受けられるので、保険の本質から考えてみても合理的な選択といえます。
お隣の人は大丈夫?
世の中には、自分が気をつけていてもどうしようもないことがあります。「コンビニで買い物してお店を出ようとした瞬間、駐車場から車が突っ込んできた」なんて、ありそうな話ではないですか?あるいは、「マンションの上階から水が漏れてきて、壁にシミができてしまった」というのも容易に想像ができると思います。
火災の場合もいっしょで、自分が火を全く使わない生活をしていたとしても、隣の家から燃え移ってくる可能性もあります。実際は、その前段階で燃え広がらないように消化剤がまかれるでしょうから、自宅は真っ白になります。
たしかに、この原因は出火元である隣の家(隣人)になりますが、潔く修繕費などを弁償してくれるのでしょうか?結論から言うと、相手に弁償を求めることはできません。というのは、道義的な責任はあったとしても、法律上の責任はないからです。
失火責任法とは?
少しだけ法律の話をすると、相手の行為が原因で起きた事故にたいし補填を求めることは可能です(民法709条・不法行為)。ところが709条には例外規定があって、それが失火責任法です。
失火責任法では、「(重大な過失がある場合は除いて)火災で他人に損害を与えてしまっても損害賠償責任は負わない」となっているので、出火元の責任は帳消しになります。
自分の身は自分で守る
逆からみると、法律上は被害に遭った方は泣き寝入りするしかありません。どうしようもないのです。だからこそ、火災保険が存在するのです。
月々の金額で計算してみれば、おそらく数千円でしょう。それにたいし、有事の際に受けられる補償は数千万円になります。「少ない金額で大きな補償を得る」のが保険の本質です。数千円を惜しく思って使わなかったために、数千万円を失う羽目になったなんてシャレになりません。
このように考えれば、火災保険にたいする見方が変わるのではないでしょうか?この記事が、保険を見直すキッカケになればうれしいです。
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