新年度になって気分を新たに・・・と言いたいところですが、転勤や進学などで家計の実務は増えるんですよね~。先日、役所に行ったのですが、転居・転出などのコーナーは人でごった返していました。
この時期によくあるのが、自転車保険に関する問い合わせです。通勤・通学で自転車を使う人は、加入証明書のコピーを提出しなさいと企業や学校から促されているみたいですね。各自治体ごとに加入義務化が進んでいるので、ここ数年で問い合わせがすごく増えました。
とはいえ、保険営業マンの中にも、的確に答えられない人たちもいるのが実情です。それを知らずに偉そうに保険を売るなよって、僕なんかは思いますけどね。
要旨
結論から言うと、必ずしも自転車保険に加入する必要はありません(法律を無視してイイというわけではないです!)。ポイントは、「個人賠償責任補償(日常生活賠償責任補償なんて言われたりもします)」に加入しているかどうか。
自動車保険・火災保険・傷害保険・賠償保険のうちのいずれかに付いていれば、あらためて入る必要はありません。
「個人賠償」なんだから賠償保険なのではないかと思うかもしれませんが、特約(オプション)で他の保険に付けることができるのです。
自転車保険への加入が義務化される理由
端緒となったのは、2013年7月に判決が下された神戸市の衝突事故です。事故が起きたのは2008年9月で、マウンテンバイクに乗った小学生と道を歩いていた女性が接触してしまいました。
ヘルメットをかぶっていなかったことなどから、子どもに自転車の運転に関する十分な指導をしていなかった母親に責任があるとして、9,521万円もの損害賠償支払いが命じられました。
以前は、自動車に比べると自転車の事故は軽く見られる風潮がありましたが、今では高額な賠償支払いになってしまう時代なのです。1億円近い金額ですから、払いきれずに自己破産する例も少なくありません。そうなってしまうと、被害者の方も救われなくなってしまいます。それを回避するために、各自治体が義務化に乗り出したのです。
「義務化」といっても、加入していなかったからといって罰則規定があるわけではありません。とはいえ、明日は我が身です。おざなりにせず、きちんと加入しておくべきでしょう。
自転車での加害事故例
道路交通法上では自転車は軽車両の扱いになりますから、「くるま」の立派な仲間なのです。当然ながら、飲酒運転も信号無視も2人乗り運転もダメです。スマホを操作したり、雨の日に傘を差しながら運転するのも禁止行為です。スマホは目的地に着いてから、雨の日は歩いていくか合羽を着て運転しましょう。「いやいや、何もそこまで・・・」と思った結果が、大事故につながるのです。
賠償額 | 事故の概要 |
---|---|
9,521万円 | 小学校5年生の児童が、坂道を散歩中の女性に衝突。女性は頭蓋骨を骨折し、意識が戻らない状態となった。 |
9,266万円 | 男子高校生が昼間、自転車横断帯の手前の歩道から車道を斜めに横断。対向車線を自転車で直進してきた男性と衝突し、重大な言語障害が残った。 |
6,779万円 | 男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂を走行しながら交差点に進入した際、横断歩道を横断中の女性と衝突。女性は脳挫傷により3日後に死亡した。 |
5,438万円 | 男性が昼間、信号を無視して猛スピードで交差点に進入し、横断歩道を横断中の女性と衝突。女性は頭部を損傷し、11日後に死亡した。 |
保険証券を確認する
先ほども書いたように、自転車保険に契約しなくても、個人賠償責任補償に加入していれば問題ありません。すでに入っているかもしれませんので、まずは保険証券を手元において確認していきます。自動車保険・火災保険・傷害保険・賠償保険のうち、いずれかに付いていれば大丈夫です。
自転車保険はどこにいったのと不思議に思われるかもしれませんが、実は傷害保険に個人賠償責任補償が特約で付いている保険を「自転車保険」と呼んでいるだけなのです。
たまに「保険証券が手元にありません」という方がいらっしゃいますが、保険会社もしくは担当者に頼んで再発行してもらいましょう。ペーパーレス化が進んでいるため、あえて保険証券を発行しない保険会社もありますが、頼めば応じてくれます。
余談ですが、大きめのクリアファイルを買って、保険証券の保管用として使うことをおすすめします。スッと出せる人とどこにあるのかわからない(ぐちゃぐちゃ)状態の人では、どちらがスムーズに保険の見直しを行えるかどうかは、一目瞭然だと思います。
弁護士費用の補償の有無
先のいずれかの保険に、個人賠償責任補償が付いていることが確認できたら、あわせて「弁護士費用(訴訟費用)」まで補償されるかどうかも確認します。保険証券を見てもわからない場合は、保険会社にきちんと裏付けをとりましょう。
この「弁護士費用」とはその名の通り、万一訴訟に発展した時の弁護士費用を補償してくれる特約です。先の例でいくと、事故発生の2008年から損害賠償請求が確定した2013年の間には裁判でのやり取りがあって、実際には法律の専門家である弁護士に依頼することになります。「個人賠償責任補償」だけでは、その分の費用は補償されないので、それを担保するために「弁護士費用特約」があります。
1世帯1契約でOK
個人賠償責任補償は、生命保険や医療保険と違い、1人ずつ加入する必要はありません。基本的には、一つの契約で一つ屋根の下に住む家族全員分は守られます(※補償範囲は保険会社に確認してください)。
個人賠償責任補償にたくさん加入したからといって、事故が起きた際にその分受け取れる金額も増えるというわけではないので、重複している場合はどれか一つに絞りましょう。
新生活が始まって間もない今だからこそ、今一度確認して見直すべきところは見直しましょう。事故が起きてからでは手遅れです。
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