コロナワクチン接種と生命保険について、SNS上で誤った情報が広がっています。
「ワクチンを接種した人が死亡した場合、生命保険が一切おりない」なんて聞いたら、打つの止めておこうかと思ったりしますよね。
今日は、その辺りの情報を整理していきます。
要旨
コロナワクチン接種は、生命保険(医療保険・がん保険なども含む)の支払いとは無関係です。単なるデマの類いです。
ワクチンを接種したいと思っているなら、ぜひ接種してください。
死亡保険金を受け取れないケース
コロナワクチンを接種すると、死亡保険金は・・・受け取れます。コロナワクチンと生命保険の支払いは、そもそも関係ないもの。
どうして言い切れるのかというと、約款(やっかん)にそう書いてあるから。
保険会社ごとに約款の内容は異なります。でも、死亡保険金を受け取れないケースについては、「契約から3年以内の被保険者の自殺」あるいは「契約者・保険金受取人の故意による被保険者の死亡」となっていて、どこの会社もほぼ同じなんです。
「ワクチンを接種したら・・・」なんて文言は一切書いてないんですよ。このことだけでも、SNS上の投稿内容が単なるド素人によるものだということがわかりますよね。
保険契約とは約款そのものである
保険は目に見えないもの、とよく言いますが、それは違います。保険は、約款という分厚い冊子に書いてある内容そのものだからです。
もちろん、字は細かくて専門用語のオンパレードなので、やっかいな代物です。保険販売員ですら読んでないやつらがいるくらい(これ、本当の話ですからね)。となれば、普通の人が読まなくても不思議ではないです。
最近では、冊子形式を止めて自社サイトでPDF形式で公開しているところがほとんどです。なので、もしかしたら一生読むことはないかもしれないですね。
逆に言うと、ネットで検索すればすぐに出てくるのでアクセスしやすくなったかなとは思います。
要するにデマ
健康体の52歳男性が、「ワクチン接種後に心臓起因で突然死した際、保険会社から「接種は薬物の治験」と見なされて、死亡保険金が一切受け取れなかった」という主旨のツイートは、3千件以上の”いいね”がついて、リツイートも2千回以上されているようです。
約款の記載内容や査定の事情を考えると、まぁデマですよね。
一部の人たちが、どうにかしてコロナワクチンを接種させまいとしているようにみえて、非常に悪意を感じます。
心臓起因の突然死って、要は心疾患なんだから、保険金は受け取れますよ。
それに・・・「ワクチン接種の後」と「ワクチン接種が原因」は似て非なるものです。前者は前後関係、後者は因果関係です。
因果関係が明らかになっていないことについて、勝手に決めつけて煽るのは迷惑千万な話です。
保険会社の査定とは?
保険金を支払う/支払わないを判断する行為を「査定」といいます。保険会社の査定というのは、ルールに沿って決められます。そのルールが書いてあるのが、約款なのです。
査定のプロセスは、査定担当者の気分や会社の事情でやっているわけでありません。機械的に淡々と処理されていきます。こういうと冷めたく聞こえるかもしれませんが、公平性と公正性、それとスピードを保つにはそうならざるを得ません。
ただし大前提として、査定に関わる人たちは「できるだけ支払う方向で考えている」ということは忘れないでほしいです。
グレーゾーンが出てきたときに、「どうすれば支払わなくて済むか」ではなく「どうやったら支払えるか」を考えているということ。
もちろん、全部の保険会社がそうなのかと言われると保証はできないですが、僕が関わった会社(担当者)は皆そうでした。
さいごに
今回の話は、いわゆるデマです。投稿者の単なる勘違いなら笑って済ませられますが・・・悪意が感じられるので相当タチが悪い。
くりかえしになりますが、ワクチンの接種によって、保険金が受け取れなかったり、あるいは一部減額されてしまったりすることはありません。
あらたに保険に加入するにしても、ワクチン接種の有無は無関係です。
あなたの周りにもそういう情報が飛び交うかもしれませんので、用心してくださいね。
P.S
2回目のワクチン接種を完了した人の割合が、人口の約半分になりました(9/7時点)。ものすごいスピードです。
ワクチン接種で重症化は防げます。打てる人から、どんどん打ちましょう。
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